何度かお伝えしているように、このブログは美味しいランチやスペイン生活を紹介した楽しいブログではなく、伝えたいことがある時に書いています。だから愚痴や文句も多いことはご勘弁を。

・・と前置きして書きますが、、。

読売新聞の大手小町に「魔性の女から良き主婦に ペネロペ・クルス」という記事があって、ひっかかりました。

「映画のライブ・フレッシュ」に出たそうなんですが、?? そんなのあったっけ?スペイン語ではどれ?」と思ったんです。

そこで探してみて、仰天しました。
スペイン語名(原題)は、Carne trémula(カルネ・トレムラ)。

ああっ!あれだったのか。

Carneとは肉。trémulaとは震える、と訳せます。
原作はルース・レンデルの小説から来ていて、このタイトルは『引き攣る肉』でした。
土臭い、でも肉感的なイメージを受け、スペイン語で見ると,映画のイメージとぴったりの題名です。
ポスターも肉体がドアップな画像でした。

ライブ・フレッシュは英語版のLive fleshから来ています。

いや、私は英語版の批判はしません。
訳しずらいこの訳を工夫を凝らして訳した結果であることが分かるし、fleshには肉のフレッシュさも思い浮かべることができます。(carne=肉体、と思っているからかもしれませんが)

アメリカ人がlive flesh と言って、あの肉体ポスターを見れば、スペイン語のCarne trémulaと似た印象を持つことができるでしょう。
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しかしこの画像に、日本語題名がライブ・フレッシュ!?
カタカナで読んで、肉感的なイメージ湧きましたか?

ペドロアルモドバルほど「カタカナの似合わない」映画はないと思うのです。

あのスペインっぽい、異色感。
狂気。
どたばた劇。
あり得ないほどの、どろどろの濃い世界。
強烈な印象を残す、登場人物たち。

こってり、どっぷり、ディープで、決して表面的な薄っぺらい世界じゃありません。なのに、
あのアルモドバル映画に、カタカナだあー!?
しかも自分で考えないで、英語の直訳かよー!??

(↑大声です)

ペネロペのデビュー作、ハモンハモンはいいんです。カタカナでも。
英語じゃなく、スペイン語そのままです。でもあの映画を知ってるせいか、ハモンという言葉に肉感的な響きも感じます。

他の訳はどうなってるのかな?と思って、調べてみました。

ライブ・フレッシュ Carne trémula (1997)
オール・アバウト・マイ・マザー Todo sobre mi madre (1999)
トーク・トゥ・ハー Hable con ella (2002)
バッド・エデュケーション La mala educación (2004)


このへん、全部カタカナです、、。ありえん、、。

ボルベール〈帰郷〉 Volver (2006)
これは良い!
スペイン語で書いてるところも良いし、ボルベール(volver)は「戻る」という意味なんですが、この日本語訳(帰郷)も素晴らしい!日本語の帰郷だけだったら邦画っぽくて違和感を持ったかもしれず、スペイン語につけたたところがいいんでしょうね。帰郷という言葉もあの映画のイメージにあっています。2度は使えない手口?かもしれませんが、新しいタイトルの付け方。これを考えた人、あっぱれです!!



最新作がこれ!
アイム・ソー・エキサイテッド! Los amantes pasajeros (2013)

はあ!?ですね。
スペイン語のlos amantes(愛人) 
pasajeros(一時的な、通過性の、ひとときの)とは大違い。

これがアイム・ソー・エキサイテッド!だああ!!
冗談にもほどがあります。
これも英語の訳だろうと思って探したら案の定でした。

スペイン語の訳者が少なくて、英語からの翻訳者が訳してるんでしょうが、せめて原題を探して、ふさわしい日本語タイトルにしてくださいよ!!本当にぷんぷんしちゃいます!!

100歩譲って原題を探さなくてもいいですが、英語タイトルのカタカナ書きは止めてください。
というか、訳してないじゃん!
訳者として、アイムソーエキサイテッドで、いいわけないじゃん!?と思っちゃいます。

たしかにそのまま訳すと、アルモドバルの映画はださいです。ださすぎる。恥ずかしくなっちゃうほどです。

抱擁のかけら Los abrazos rotos (2009)
私が、生きる肌 La piel que habito (2011)
私の秘密の花 La flor de mi secreto (1995)


読むだけで気恥ずかしい。もしくは時代遅れに見える。
でもその気恥ずかしいタイトルがそのまんま彼の映画なんです。それが出てなくて、どうするよ!
だから恥ずかしいですが、これらは英語カタカナじゃなくて、まだ良かったんです。

昔の映画タイトルは良かったですよ。

アタメ ¡Átame! (1990)
ハイヒール Tacones lejanos (1991)
キカ Kika (1993)


キカは人の名前ですが、これはこのままでよろしい。原題通りです。
インパクトもあるし、短いし。映画を見てもキカという主人公のイメージがちゃんと残ります。

ハイヒールはtacones lejanos「遠くのハイヒール」みたいな訳ですが、こりゃあ訳せん。難しい訳です。ただの遠くじゃなく、遠方というか彼方といか、微妙に文学的なニュアンスがあり、私も訳せません。

これをシンプルに余計なことを書かずにハイヒール。それだけでも十分に映画のイメージです。これもよろしい。

アタメは訳すと、「私を縛って」です。しかしそう訳するのはちょっと、、。(アダルト映画と間違えられそう。というか、すでにありそう、、さすがアルモドバルさん、すごい題名つけましたね。)
あえて、そのままスペイン語をカタカナ表記にしていて、これも良し。
下手に英語でカタカナ訳にされるより、よっぽどアルモドバルっぽいです。

見てないので映画のイメージにあってるかどうか分かりませんが、思い切って訳を変えたなー、と感心するのが
バチ当たり修道院の最期 Entre tinieblas (1983)
スペイン語では「闇の間」みたいな訳になるでしょうか。
がらっと変えてありますが、もともと翻訳というものは良い訳が見つからない時にはこんな風にがらっと変えてもよいとされます。特に映画や本の題名は重要なので、みんながイメージ出来る、覚えやすいか印象深いタイトルにする。昔からよくやってきたやり方です。

カタカナにしたらイメージって残りませんよね。
カタカナをタイトルにするのはとっても注意しないといけないと思うんですよ。

私にとってアルモドバルの映画で一番のタイトルは・・?
神経衰弱ぎりぎりの女たち Mujeres al borde de un ataque de nervios (1988)

「神経のataque(発作)の際(きわ)にいる女たち」
みたいな意味ですが、上手い訳です!
映画見る前から、インパクトありと思っていて、名訳の1つだと思います。


将来翻訳家を目指す皆さんがここを読んでいたら!
お願いだから、スペイン映画に似合わない、薄っぺらなタイトルはやめてください。
せめてイメージにあうものを自分で考えてくださいね!!!


これが伝えたくて、記事を書きました。
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